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【宿泊記】バリ|Amankila アマンキラ|インフィニティープールの元祖は迫力の3段型|建築家エド・タートル氏の空間マジック

宿泊したのは約20年以上前の2001年7月。ホテルに夢中になり始めた私の思い出のあるホテルで、まさに私にとって初恋の人。アマンの解説と宿泊記を同時進行で書いていきます。

Contents
  1. 概要|アマンとは:運命の出会いは CREA Traveler
  2. アクセス|成田・関空から直行便で約8時間
  3. チェックイン
  4. インフィニティプール|絶景!元祖は迫力の3段型!
  5. 客室|緑豊かな崖にたたずむ 宮殿のようなヴィラ
  6. レストラン|イタリアン「アルバ」
  7. ビーチクラブプール|原生林の中で静かにくつろぐ時間
  8. ピクニック|ある日は砂浜で。波音を聞きながら
  9. ピクニック|ある日は丘の上で。絶景を眺めながら
  10. インフィニティプール|緑色の宝石に輝くバリの夜
  11. イベント|豪華民族衣装での伝統的バリ舞踊鑑賞
  12. ライブラリー|建築家タートルマジック満載!
  13. チェックアウト

概要|アマンとは:運命の出会いは CREA Traveler

雑誌「CREA Traveler|完全保存版 アマンリゾーツのすべて」

SNSも携帯もない時代、旅の情報源は、雑誌と、旅行会社のパンフレット、そしてホテルのロビーに置かれてるBrochure(小冊子)だけ。そんなある日。本屋さんのお散歩中、素敵な表紙の雑誌を発見。

表紙はモロッコのアマンジェナ。

2000年10月発売「CREA Traveler」特集「完全保存版|アマンリゾーツのすべて」
                  
表紙を見た瞬間、心臓が高鳴りました。ページをめくるたび、未知の世界への扉が開いていく感覚。

アマンリゾーツって?聞いたことないラグジュアリーな響き。表紙に一目惚れし、夢中で読みふけりました。そこには・・・

・「アマンリゾーツ」:世界に11軒(現在は38軒)世界初の雑誌としての特集
・「アマンマジック」:ゲストを魅了させ来年の宿泊の予約をさせてしまう魔法
・「アマンジャンキー」:世界のアマンを夢中で次々と泊まり歩く人

「こんな世界があるのか!」と感動し、あまりにも気に入りすぎて、雑誌がちぎれたら嫌だなと思い、同じこの雑誌をもう一冊買いました。まるで推しのグッズを買うような気持ち。

アマンジャンキーとは|世界中のアマンに恋して旅する人

ホテルジャーナリスト村瀬千文さんが、とても面白いコラムを書かれていました。

ウソでもいいからだまされたい「女殺しのホテル」村瀬千文

昔深く愛した男のことは、いつまでたっても気になるものだ。「最近ねえ、あんまりよくないんだよ」なんて、風の便りで伝え聞いたりすると、もういてもらってもいられなくなってしまう。その男の名前はアマンリゾーツ。私がかつてただならぬ恋に落ち、深く愛した男・・・。初めての出会いは、バリ島のアマンキラだった(つづく)。

引用:2000年10月25日 文藝春秋発行
「CREA Traveler」完全保存版|至高の楽園アマンリゾーツのすべて 

このあと、その「彼=アマンキラ」はさまざまな表情を見せて、「彼女=筆者」を虜(とりこ)にさせていきます。暗闇にたたずむ彼、凛とした彼、明るい陽射しでまぶしく輝く彼。プールサイドで女に囲まれる彼。最後にはスコールに打たれて無防備になった彼。

アマンキラのエントランス

それほど夢中にさせる「彼=アマンキラ」って、一体どんなに素敵なの!?限られた情報しかなかったから想像力はふくらんだし、冒険心がくすぐられました。分からないからこそ「現地に行かなくちゃ!」と思い、雑誌を見た半年後に絶対行く!と計画しました。

アマン最大の特徴|極上の『アマン=平和』体験を辺境の地で

「アマン」はサンスクリット語で「平和」を意味し、アマンリゾートは全てのゲストに究極の「安らぎ」の提供を目指しています。都会の便利さを求める人とは逆に、都会の喧騒から離れたいと願う人もいます。セレブリティも安心して過ごせる辺境の地にあり、静寂とプライバシーを求める人々が集まってきました。

ゲストのプライベートを尊重し、穏やかに滞在できるようにする。そのため「アマンダリ」はジャングルの渓谷に、「アマンガニ」は大高原に、「アマンジェナ」は砂漠に。「アマンプロ」は小型機でしか行けない南の小さな島に。不便で遠い辺境の地に存在する小規模な高級リゾート、それがアマンの最大の特徴です。

アクセス|成田・関空から直行便で約8時間

チェックイン

バリ島のングラライ空港からバリ島の東部へ車で走ること約1時間半。周囲には観光地もなく静かで、緑豊かな海沿いのロケーションにあります。ホテルは1992年に開業、2023年に改装されています。写真は2001年7月に撮影したものです。

インフィニティプール|絶景!元祖は迫力の3段型!

リゾート建築の巨匠|建築家エド・タートル氏がデザイン

このホテルをデザインしたのはアマンリゾーツ発祥のアマンプリも手がけた、建築家エド・タートル氏。海に面した崖の地形に合わせて設計し、バリの棚田(ライステラス)を表現。美しい3段の水面の最上段から、つぎつぎに下段に水が流れ落ちていきます。

「アマンキラ」とは「平和なる丘」の意味。この丘の上から見下ろすロンボク海峡の美しさ!階段を一歩づづ降りていくのは、舞台に立った女優になった気分に。バリ最後の国王といわれるカランガッセム王朝時代の水の宮殿「タマン・ウジュン」にインスパイアされ、建設されました。
空から見下ろすとシンメトリーにデザインされ、惚れ惚れとする芸術的な美しさ。世界中のインフィニティプールはこのプールをお手本にされました。今度からインフィニティプールをみたら言いましょう「アマンキラみたいね♡」と。
プールから上がると、バレ(休憩スペース)にバスタオルが用意され、すぐに飲み物のオーダーを聞きに来てくれるなど、先回りの気配りが心地よかったです。ホテルの65%の従業員を現地採用し、ゲストに対して4倍のスタッフがいる贅沢さで、温かみのあるサービスが魅力です。

客室|緑豊かな崖にたたずむ 宮殿のようなヴィラ

私が2001年に宿泊したのは「デラックススイート」。アマンは客室が少ないスモールラグジュアリーなホテルで現在の客室数は33室。私が宿泊した時の料金は9万5000円(税サ込)でしたが、現在は約2倍に。趣味で昔と今の公式情報の比較表を作成してみました。

客室カテゴリー表|ガーデン・スイートは約22万/泊

◾️客室カテゴリー表:価格順

客室名客室価格
2001年現在広さ2001年現在
スーペリア
スイート
94㎡$550
デラックス
スイート
ガーデン
スイート
94㎡$650$1300
デラックス
オーシャンスイート
オーシャン
スイート
94㎡$700$1300
プール
スイート
プール
スイート
204㎡$750$1850
インフィニティ
プールスイート
200㎡$2250
キラサリ
スイート
302㎡$2350
インドラキラ
スイート
250㎡$3000
アマンキラ
スイート
アマンキラ
スイート
660㎡$1700$5700
総数35室総数33室
USドル/室料金。税サ21%(サービス料10%+税金11%)別途必要。

エントランス|隠れ家の玄関からロンボク海峡を独り占め☆

バリ最高峰の活火山、神聖なアグン山の麓に広がる緑豊かな丘陵地帯。その中腹よりやや高い位置にあるデラックススイートに宿泊しました。ここからロンボク海峡の絶景と美しい丘陵地帯を一望できます。

高床式ガーデンヴィラの外観は美しく、広さ94㎡で大人2人がゆったりと過ごせる十分な広さがあります。屋外テラスにはリクライニングチェアが2台設置され、リラックスできる空間。通行する人はなく、完全なプライベートな空間で過ごせました。

玄関前にはテーブル、チェア、デイベッドがあり、リラックスできる空間が広がります。アマンのルームキーは、各リゾートの象徴となる動物がモチーフ。バリ唯一の海に面したアマンキラでは、お魚デザイン!職人が手彫りした鍵は、とても可愛くて温もりがあります。

3段インフィニティプールから真っ白な石の回廊を登ると、目の前に広がるのはロンボク海峡の絶景。階段を登り降りするたびに、新たな景色が広がります。東方向には、熱帯雨林が美しいペニダ島が見え、フェリーやタンカーが行き交う様子も楽しめます。

リビング&ベッドルーム|天蓋付きベッドで王族の貴婦人に

リビングとベッドルームが一体となったこの空間には、テレビはありません。代わりに、自然の音に耳を傾けてみてはいかがでしょうか、というメッセージ。

はるばると遠く、バリ島のはしっこまで、パパラッチを避けて来たのですから。ご用意された環境に思いっきり浸り、日常を全部忘れました☆

天蓋は、仏像や貴人の寝台、玉座の上に設けられた美しい覆いです。その起源はインドの貴人の日傘に遡ります。天蓋はプライバシーを保ち、権威と豪華さを象徴する役割も果たしていました。憧れの天蓋ベッド。しかもアマンキラの♡ 王族の貴婦人になった気分に。

ウェルカムシャンパンと敷地内に咲く南国の花プルメリアが添えられたウェルカムフルーツは無料で提供されます。食べたい時はスタッフに声をかけると、綺麗にカットして持ってきてくれます。このフルーツは好きなだけ食べられ、毎日追加してくれました。

アマンキラのオリジナルCDと、CDプレーヤーがありました。バリ島のガムラン音楽は、伝統的な打楽器を使用した合奏音楽で、高周波を含む音色が特徴です。癒し効果があるとされ、ずっとリピート再生していました。最終日にショップで購入しました。

リビングのデスクとベッドサイドの照明はブラックシェードです。黒いシェードは、夜景を見る際にガラスに光源が映らないようにするためや、電子機器を目立たせないために採用されています。インテリアの一部としてもスタイリッシュな要素を加えています。

建築家エド・タートル氏のデザインの見どころ独自解説!

建築家エド・タートル氏のマジックが特に体験できる場所はここ!「タマン・ウジュン(水の宮殿)」をモチーフとされた内装。左はリビング&ベッドエリア。この廊下を通って、右側のバスルーム&洗面エリアに続いていきます。

バスルームエリアには、鏡の前に花瓶が置かれています。この鏡は図解⑧です。2つのエリアをつなぐ短い空間で、光と影、鏡を使い、バリの宮殿を歩いているかのような演出がされています。

バスルーム&洗面エリア

エド・タートル氏は、リゾート建築に蓮池を多用することで知られています。Amanpuri、Amanjiwo、The Sukhothai Bangkokで特に多く見られ、自然との調和や静寂を生み出すために仏教の象徴である蓮、水、池を活用しています。

Amankilaでは、こんな感じでホテルエントランスとヴィラ周辺に、蓮池があります。
窓際に置かれたディバン。ディバンとは中東や北アフリカに起源を持つ長椅子のことでバリでは主に高級リゾートやスパで見られます。ココナッツの木立の光と影の中でまったりと♡
アマンキラの客室ガーデンスイートのトイレとシャワールーム(amankila-toilet-showerroom)
リビング&ベッドルームのエリアと、バスルームエリアの間に、トイレとシャワースペースがあります。バスタブの横のスペースを上手く使って配置されています。グリッドに組まれた窓から柔らかな光が差し込みます。

アマンオリジナルのバスアメニティ。シャンプーボトル、コンディショナーの文字は可愛い手書き。黒い木彫りのキャップは客室のボールペンと同じデザインでした。

白檀の香りで、きめ細かに泡立つ固形せっけん。

客室を一番奥まで進んだ場所に洗面エリアがあります。ここは合わせ鏡になっています。シンメトリーに配置され、かつ鏡によって連続性を持たせた演出です。

レストラン|イタリアン「アルバ」

アマンキラにはレストランが3つ。1つ目はインドネシア料理の「レストラン」。2つ目は、ここ、イタリアン「アルバ」。3つ目は海の前にある「ビーチクラブ」です。アマンキラ内には有機栽培ガーデンがあり、新鮮なハーブ、野菜、果物などの食材を収穫しています。

イタリアン「アルバ」。白い化粧柱(装飾的に見せる柱)に囲まれたレストラン内は、よく見ると宮殿の門の形状に鏡がはめ込まれています。巨大な鏡の効果は抜群に空間を広くみせてくれます。ここでも建築家エド・タートル氏のミラーマジックが味わえますね。

アマンキラは海辺のリゾートなので、海をモチーフにしたデザインがホテル内の随所に見られます。レストランでは貝殻を利用したテーブルが使われていました。

夜になると、まるで美術館のよう。宿泊客がいつ来てもいいように座席数があり、予約する必要がありません。いつ行っても十分なプライバシー空間がありました。欧米人、日本人が数組。芸能人や有名人がいてもお互いにそっと・・・ね。

ビーチクラブプール|原生林の中で静かにくつろぐ時間

3段インフィニティプールのあるところから海へ。車による送迎も、階段を降りてくることもできます。奥に見えるのは、ビーチクラブレストラン。背の高い椰子の木の間をお散歩しました。
華やかな3段インフィニティプールとは異なった、細長く、スッキリとした落ち着きのあるセカンドプール。深さは2m。本気で泳ぐか、「眺めるプール」として接しましょう。椰子の木、手入れされた植栽のグリーンに癒されます。ここも、アマンキラらしい、カッコいい空間。
サンベッドもシンメトリーに配置。ここから目の前のビーチへ出られるので、海で遊んだり、このパラソルの下でゆったり時間を過ごしたり、気ままな時間を過ごせました。

ピクニック|ある日は砂浜で。波音を聞きながら

ビーチプールからすぐ目の前にはサラ(日除けの屋根がある東屋)があり、冷たいおしぼりとお水を持ってきてくれます。また、ここでサンドイッチやジュースを用意して欲しいなど「ピクニック」を要望すれば準備してくれます。リクエストすれば出来る範囲で全て対応してくれます。
ホテル敷地内のあちこちにあるデイベッド。1時間くらいいたでしょうか・・・やっぱり砂浜、波の音は癒されます。もしアマンキラに来たら、是非セカンドプールとこのプライベートビーチにも来てみてくださいね。

ピクニック|ある日は丘の上で。絶景を眺めながら

ある日の朝食は、スタッフと打合せをして、近くの丘の上で食べることにしました。黒塗りの4WDに乗って結構細い山道を登っていきます。
タマンサリヒルを登り切った所からの絶景!遠くに見えるのはバリ島にとって聖なる山とされるアグン山です。
ここにアマンキラの所有するプライベート・バレ(休憩スペース)が、たった一つあります。ということは、朝食利用1日1組のみ!

バリ製カゴバッグから2名分の朝食をセッティングしてくださいました。フレッシュなオレンジジュースと焼きたてパン、コーヒー&紅茶用には温かいミルクも持参し、丘の上でも何不自由ない完璧な朝食!今も鮮明に思い出します。

インフィニティプール|緑色の宝石に輝くバリの夜

プールサイドには、バレ(休憩スペース)があり、夕方になると支柱の1本づつが綺麗にライトアップされていきます。ため息が出るほど美しく、見応えたっぷりです。
昼間は美しく輝いた青い宝石は、電球色で緑色に輝く。微妙な石の色の濃さの違いが美しく、風が吹くと宝石のように輝いてみえます♡
プールサイドでのプライベートディナーのテーブルセッティングの様子。なんとロマンチックだこと♡ 今度行った時にはこれをしてみたいな。
アマンキラのインフィニティプールの横のバレ(amankila-bale)
昼間は取り合いのバレ(休憩スペース)も夜は余裕に座れました。ほんのり照らされた感じがとっても良いです。バリ島では、白黒のチェック柄の布は「ポレン」と呼ばれ、調和やバランスなどの世界観や哲学を表した深い意味を持つシンボルです。

イベント|豪華民族衣装での伝統的バリ舞踊鑑賞

アマンキラのケチャックダンスショー(amankila-bali-danceshow)
プールサイドで開催されるケチャックダンスショ一。ガムランの音楽が鳴り始めると、宿泊客が集まってきます。伝統的なバリ文化に触れることができる良い機会。年中開催されており、無料で見ることができます。

神の怒りに触れてカエルの姿になった王子を、お姫様の愛で王子の姿に戻った、というようなお話。階段に座って見たのですが、衣装が本当に鮮やかで豪華でした。ダンサーの数も多く、ガムラン音楽のライブパフォーマンスはとっても見応えありました。

ライブラリー|建築家タートルマジック満載!

アマンキラのライブラリーには書籍、かいが、バリの骨董品などがあるお洒落なギャラリーになっています。パブリックスペースなので、いつでも自由にのんびりと本を読んだり、他のゲストやスタッフと会話するのも楽しめる場所となっています。

建築家エド・タートル氏は、格子模様が斜め45度になったデザインで空間を設計しています。プール、客室、レストラン、ライブラリーのあらゆる場所で、格子のデザインに合わせ用途に応じて異なる素材(透明ガラス、乳白ガラス、木材、鏡など)が使われています。

カラーのコーディネートにも統一されています。アマンキラ全体で使用されている木は濃い飴色で。そしてインテリアに緑色の差し色を使い、自然ともとても調和されていると思います。

宮殿の門を形どった鏡がはめ込まれています。意識せずとも、この形状をアマンキラ中で見ているはず。宿泊客は潜在的に水の宮殿「タマン・ウジュン」が擦り込まれている。初めて訪れても 「あ・私ここに昔きたことがあるような気がする・・・」って言ってしまいそう。

チェックアウト

お見送り時にも次の予約をしてしまうアマンマジックにかかる

チェックアウト後のひととき。少女たちがゲストの送迎をしながら、敷地内に咲くお花と葉っぱを編んで、客室に飾るプレゼントを作っていました。

感想|築30年経っても解けないアマンの魔法

宿泊当時、20代後半でアマンに泊まるのは金額も年休も厳しかったけれど、「絶対行く!」と心に決めて飛び込んでのぞいた世界は素晴らしく、今も忘れられません。この経験があるから、「体験」にかける価値を深く考えるようになりました。

アマン創業者のエイドリアン・ゼッカ(Adrian Zecha)氏とエド・タートル(Ed Tuttle)氏が若かりし頃に手がけた伝説のホテル。女殺しの凛々しかった彼(=アマンキラ)が、30年経った今はイケおじとなって年を重ねていることが本当に嬉しいです。書きながら、また泊まりに行きたくなってきました☆