2024年3月、世界最大級の鉄道ジオラマ・テーマパーク「ミニチュアワンダーランド」に、ほど近い「サー・ニコライ・ホテル」に滞在してきました。デザイン愛好家を魅了し、世界的に有名なチェアや照明が多数採用されている、ブティックホテルの魅力をお伝えします。
概要
2017年6月「サー・ニコライ・ホテル 」開業
このホテルチェーンは、元々「サー・ホテルズ」という名で、サークル・コレクションの一部として開業しました。アムステルダムを皮切りに、ベルリン、イビサ島、ハンブルクといった主要都市へと拡大してきました。各ホテルは、その地域の文化や特色を映し出す洗練されたデザインが特徴です。
インテリアデザイン・ホスピタリティ界の重要な賞にノミネート
◾️Design MENA
2017 CID Awards(Commercial Interior Design Awards)
「年間インテリアデザイン国際プロジェクト部門」
インテリアデザイン業界で最も創造的なプロジェクトを紹介し認識する場として重要な賞の一つです。
◾️Sleeper Magazine
2017 AHEAD Europe Awards(Awards for Hospitality Experience and Design)「都市型ホテル改装部門」
ホスピタリティ業界におけるデザインと体験の卓越性を称える重要な賞です。デザインの質の高さ、革新性を示す証拠となっています。
2024年4月 レオナルド・ホテルズ・ヨーロッパが買収
2024年4月「ザ・ニコライ・ホテル・ハンブルク・レオナルド・リミテッド・エディション」として新たなスタートを切りました。個性豊かなホテルを集める「レオナルド・ホテルズ」が、既にハンブルクで注目を集めていたこのホテルを加え、さらに魅力的なホテルズとなりました。
アクセス|ハンブルク観光に便利な隠れ家ロケーション
ニコライ・ホテルはハンブルクの歴史的なニコライフリート運河沿いに位置し、赤レンガの倉庫群で知られるシュパイヒャーシュタットと旧市街に挟まれた魅力的な場所にあります。2017年には徒歩14分の距離にエルプフィルハーモニー・コンサートホールが開業し、ハンブルクの観光市場が大きく拡がりました。
ホテル正面はカタリーネン通りで商業用ビルが並んでおり再開発が行われている地区。廃墟ビルがインテリアデザイナーによってお洒落なスポットに生まれ変わるのは良く聞く話。ここも新しく生まれ変わりつつ、周囲はひっそりしている隠れ家的なロケーションとなっています。
チェックイン|世界中を旅したニコライ氏の私邸
このホテルには、ニコライ氏が世界を旅して集めたお土産が展示されています。彼の旅はビジネス目的だったのか、それとも自己探求の旅だったのか。彼は公爵だったのか、それとも商人だったのか。現在のサークル・コレクションのホームページを眺めながら、そんなことを考えてしまいました。
『サー・アルバート』
オランダ・アムステルダムにあるホテル。キーワードは、ダイヤモンド工場、エジプト綿を使用したベッド。そしてイギリス人らしいアルバートという名前・・・
オランダでアフリカ産ダイヤモンドの取引を行っていた商人だったのか・・・?
『サー・ジョアン』
スペイン・イビサ島にあるホテル。キーワードは、木製のヨットの床、波を表現した鋼の壁パネル、エジプト綿のシーツ、アーユルヴェーダオイル、カラーラ大理石、ビアンコ・カララ・・・
ジョアン氏は大航海時代の商人。インドでアーユルヴェーダを知りイビサに戻って自家製アーユルヴェーダオイルを作った・・・?
アルバート、ジョアン、ニコライ・・・そのホテル名の背後に「ストーリー」があるみたい。ニコライ氏はどんな人生を送り、ここに戻ってきたのかしら?
ラウンジ|「The Studio」ザ・スタディ
ガラス屋根の中庭|「The Patio」ザ・パティオ
ホテルのアートコレクションは、ハンブルクとベルリンを拠点に活動する新進気鋭のアーティストから、既に名を馳せたアーティストまで、多様な作家たちの作品が選ばれています。カラフルに彩った女性のモノクロ・ポートレートがとてもスタイリッシュ。
ニコライ・ホテルに採用されていたアームチェアと照明
ホテルには宿泊客がいるので上手に全てのチェアの写真を撮影できなかったので、姿図一覧にしました。これもまだ一部なんですよ。そして時々入れ替わったり、位置が変更されていたりします。
左から(価格は参考価格※関税等別)|Baxter『Ingrid Rocking Arm Chair』(約68万円)|Cassina『Gender Arm Chair』(約47万円)|Brabbu『Sika Arm Chair』|Mambo Unlimited Ideas『Circus Floor Lamp』(約15万円)
左から(価格は参考価格※関税等別)|Ottiu 『Louis Dining Chair』(約37万円)| KOKET 『Bolvardi Bench』(約77万円) | Mambo Unlimited Ideas 『Jules Floor Lamp』(約24万円)| Tekna 『Nautic Walcott Wall Light』(約29万円)
宿泊した時に完璧にコーディネートされた世界観の中で試せることができたら、一生の宝物の時間になります。ホテルに滞在して、自分の普段の生活では味わえないような体験ができることが一番の醍醐味ですね。
客室|カテゴリー表
サー・ニコライには、94室の部屋があります。家族4人なので、2部屋を予約しました。ニコライ・デラックスを予約していたのですが、1部屋はニコライ・シュープリームにアップグレードしていただきました。
部屋名 | 部屋名 | 広さ | 定員 | ベッド |
---|---|---|---|---|
Nikolai Boutique | ブティック | 23㎡ | 2名 | ダブル1台 |
Nikolai Deluxe | デラックス | 26㎡ | 2名 | キング1台 |
Nikolai Supreme | シュープリーム | 32㎡ | 2名 | キング1台 |
Nikolai Suite | スイート | 36㎡ | 2名 | キング1台 |
客室|Nikolai Supreme ニコライ・シュープリーム
ベッドルーム
バスルーム
客室|Nikolai Deluxe ニコライ・デラックス
ベッドルーム
ニコライさん、わりと鳥類好き。石像のある国に行き、インコとアゲハ蝶の舞う国へ旅されたのね。
クローズアップしてみましょう。グリム童話『眠れる森の美女』のワンシーン。 「 The Sleeping Beauty ‘ Fairy Tales of the Brothers Grimm 」と書かれています。
『眠れる森の美女』の舞台となった場所は、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城とされています。この城は、ロマンチックなゴシック様式でその美しい外観がディズニー映画『眠れる森の美女』オーロラ姫の城のモデルとなりました。
ドイツを感じられる一枚。
蝶の標本!ちょっとびっくりしました。「 Papilio blumei male Sulawesi Isl. Indonesia」スラウェシ島のアゲハ蝶・オス・インドネシア、と書かれています。
ニコライさん、インドネシアにも!
バスルーム
デラックス・ルームはバスタブがない代わりに、広々としたシャワースペースを備えています。高さ調節可能な大型シャワーヘッドやレインシャワーあり。トイレは隣接しており、壁の鏡が空間を広く見せてくれるのがポイントです。
朝食|「The Patio」ザ・パティオ
IZAKAYA Asian kitchen & bar|居酒屋アジアンキッチンバー
この空間で一番の見どころは、この見事なロングテーブル&天井デザイン。長さ違いのペンダントが点在していて、空を見上げると川が輝いて流れているようです。運河の景色を店内に取り入れた空間デザインが魅力です。
360度ぐるっと円形になったバーカウンター。朝食時には、フルーツ、野菜、ハーブなどを浸け込み、それらの栄養素を水に溶け出させたデトックスウォーターや自家製スムージーが並びます。
夜には地元産やヨーロッパのワイン、ビールが並びます。ハンブルクの水辺の景色を楽しみながら、DJが流行のEDMを流すバーに変身します。天井には緩やかなカーブを描く酒棚があり、バーカウンターのデザインも運河を連想させます。
インテリアデザイン|FG Stijl Interior Architecture
この非日常な夢を、私に見させてくれたのは、FG Stijl Interior Architecture(エフ・ジー・ステイル・インテリア・アーキテクチャ)。オランダのデザインスタジオで、世界中に高級ホテルやレストランなど、多数のプロジェクトを手がけています。
このニコライ・ホテルで実現したように、人々の体験を考えてコンセプトデザインをしています。またインテリアデザイン、建築、ブランディングソリューションなどを総合的に提案。職人と協力し、各プロジェクトに合わせた独自の家具や照明を制作するところも特徴です。
◾️主なプロジェクト
・Park Hyatt Vienna, Austria(パーク・ハイアット・ウィーン, オーストラリア)
・Andaz The Palm, Dubai(アンダーズ・ザ・パーム , ドバイ)
・Park Centraal, Amsterdam(パーク・セントラル・アムステルダム)
引用:https://www.fgstijl.com/
チェックアウト|ホテルの滞在そのものが「旅」
自分では到底購入できない豪華な家具、世界中から収集した調度品、最先端の現代アートや、カラーのライティングなど、興味深いものばかりでした。
さて「ニコライ氏」は実在する人なのか、実在しないのか。」チェックイン時には、スタッフは本棚の調度品を「ニコライ氏が収集したものですよ〜うふふ」と言っていたけれど。。。一瞬、葛藤。
こういう意味かしら?と、想像して瞬間を楽しむことが、異国に来た旅の良さだと思います。短い滞在でしたが、このホテルに滞在したことが「ひとつの旅」のようでした。
周辺観光|世界最大の鉄道ジオラマ・テーマパーク!
鉄道やジオラマの愛好家が夢中になる、世界中の都市や風景を精密に再現した鉄道ジオラマのテーマパークです。2001年の開園以来、作品は絶えず制作が進んでおり、お土産ショップには数えきれないほどのおもちゃが並んでいます。待ち時間を避けるためにも、事前予約がおすすめです。しかもホテルからはたったの徒歩6分!ハンブルクに来た際にはぜひ行ってみてくださいね。